Excelで予実管理を続けていると、集計や転記に時間がかかるだけでなく、ファイルの版管理や差異分析、会議資料づくりまで属人化しやすくなります。部門や拠点が増えるほど負担は重くなり、数字をそろえること自体に時間を取られて、判断や改善に手が回りにくくなりがちです。そこで検討したいのが、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理しやすい予実管理クラウドです。
この記事では、予実管理クラウドを比較するときに見ておきたいポイントを整理したうえで、おすすめの8製品を紹介します。なお今回は、クラウド型の予実管理システムを中心にしつつ、予実管理と経営計画、シミュレーション、KPI運用まで含めて比較対象になりやすい関連製品もあわせて取り上げます。
予実管理クラウドとは、予算、実績、見込といった経営データをまとめて扱い、比較や分析、共有まで進めやすくする仕組みです。数字を保存するだけではなく、部門別や案件別で差異を確認したり、見込を更新したり、経営会議で使うレポートにつなげたりしやすい点に意味があります。
Excelでも予実管理はできますが、部門ごとにファイルが分かれたり、数式が崩れたり、集計のたびに確認作業が発生したりすると、数字をそろえるだけで時間がかかります。予実管理クラウドを導入する価値は、単に入力や集計を楽にすることではなく、判断に使える状態まで数字を整えやすくすることにあります。
予実管理クラウドは、どれも同じように見えて実は得意分野が異なります。比較の精度を上げるには、自社が何を改善したいのかに合わせてタイプを分けて考えることが大切です。
部門別、事業別、プロジェクト別、子会社別など、多軸で数字を見たい企業には、経営管理の基盤として使いやすいタイプが向いています。予実管理に加えて、分析、レポート、グループ全体の管理まで視野に入るため、管理単位が多い企業ほど導入効果を感じやすくなります。
売上や利益だけでなく、案件数、稼働率、商談数、店舗別指標といったKPIまで見ながら運用したい場合は、PLとKPIを一緒に見やすいタイプが合います。数字を集計するだけでなく、現場の行動改善までつなげたい企業では、このタイプが比較候補に入りやすくなります。
予実管理だけでなく、中期計画や単年度計画、資金繰り、将来シナリオの比較まで一体で見たい場合は、経営シミュレーション寄りのタイプも候補になります。日々の予実差異を確認するだけでなく、複数の条件を比べながら経営判断を進めたい企業では、このタイプが向いています。
予実管理クラウドは、機能の多さだけで選ぶと導入後に使いこなしにくくなります。比較するときは、自社の運用にどこまで無理なく乗せられるかを先に見ておくことが重要です。
まず見たいのは、予算を立てる工程と、実績を取り込み、見込を更新し、差異を分析する工程が切れずにつながっているかどうかです。予算作成だけ、あるいは分析だけが別運用になると、結局Excelが残りやすくなります。
会計ソフト、ERP、販売管理、SFAなど、すでに社内で使っているシステムとつなぎやすいかも重要です。導入後もCSV加工や転記が残らないかという視点で見ておくと、比較しやすくなります。
予実管理は経理や経営企画だけで完結しません。事業部や拠点、店舗の担当者が入力しやすいか、承認や差分確認がしやすいかで、導入後の定着度は大きく変わります。現場まで含めて使いやすい設計かどうかは、初期段階で見ておきたいポイントです。
どこまで見たいかによって、合う製品は変わります。PL中心で予算と実績のズレを把握したいのか、KPIまで含めて現場の改善につなげたいのかを先に決めておくと、比較の軸がぶれにくくなります。
予実管理クラウドは、導入しただけでは定着しません。初期設定、運用設計、利用部門への展開まで含めて、支援を受けながら進められるかも確認しておくと安心です。
ここからは、おすすめの予実管理クラウドと関連製品を8つ紹介します。製品ごとに強みが違うため、どんな企業に向いているかを中心に見ていくと比較しやすくなります。
MAP+は、予実管理に加えて、中期計画、単年度計画、資金繰り、将来シミュレーションまで一体で進めたい企業に向いています。会計ソフトとの連動や自動計算により、意思決定の変化を将来の財務諸表に反映しながら検討できる点が特徴です。日々の予実差異を追うだけでなく、経営計画そのものを精度高く作りたい企業では、比較候補に入れやすい製品です。
クラウド型の予実管理システムと比べると、MAP+は経営シミュレーションの色が濃い製品です。そのぶん、代表者や財務責任者が主導して、複数シナリオを見ながら投資や人員配置を考えたい場面では強みが出ます。予実管理を、経営会議や計画策定の土台として使いたい企業に向いています。
参照元:MAP+(株式会社MAP経営)公式HP(https://www.mapka.jp/for-company/)
株式会社金谷計画では、以前はExcelで中期経営計画を作成していたため、作業に時間がかかるうえ、数値が合わないことも課題になっていました。MAP+の導入後は、短時間で経営計画を作成できるようになり、事業ごとのシミュレーションにも活用できています。目標達成を意識した経営が進み、経営会議の活性化につながっている点も導入効果の一つです。
参照元:MAP+(株式会社MAP経営)公式HP(https://www.mapka.jp/for-company/)
DIGGLEは、予算策定から見込更新、予実突合、分析、経営報告までを一つの仕組みで回したい企業に向いています。会計だけでなく、ERPやSFA、販売管理などのデータも取り込みながら一元管理でき、予算数値の入力、申請・承認、見込管理、多年度分析、レポート作成まで一気通貫で進めやすい構成です。Excelから脱却したいものの、運用を分断したくない企業には特に検討しやすい製品です。
また、DIGGLEは事業部や拠点を巻き込みながら予実管理を進めやすい点も特徴です。経営企画だけでなく、各部門が最新の数字を見ながら着地見込を把握し、議論を進めたい企業に向いています。
参照元:DIGGLE(DIGGLE株式会社)公式HP(https://diggle.jp/)
住友重機械工業では、IT費用の予実管理表を手作業で作成しており、二人がかりで1週間かかることもありました。DIGGLEの導入後は、一人で半日まで工数を圧縮でき、作成負担は10分の1になっています。差異理由の可視化も進み、余剰予算の再配分まで判断しやすくなったことで、予算管理のスピードと精度の両方が高まっています。
参照元:DIGGLE(DIGGLE株式会社)公式HP(https://diggle.jp/case/shi/)
Sactonaは、予算編成、予実管理、見込管理、中期計画、グループ管理まで、経営管理業務全体を一つの基盤で扱いたい企業に向いています。管理会計・経営管理を高度化・効率化するクラウド/オンプレミス対応型の経営管理システムで、部門数や拠点数が多く、組織構造が複雑な企業でも使いやすい設計です。
Sactonaの強みは、Excelに近い操作感を残しながら、大規模運用に耐えられる点にあります。全社横断やグローバル連結のような複雑な経営管理を効率化したい企業はもちろん、段階的に高度化を進めたい企業でも比較しやすい製品です。
参照元:Sactona(アウトルックコンサルティング株式会社)公式HP(https://www.outlook.co.jp/sactona/modules/)
パナソニックでは、全世界グループ約600社を対象にしたグローバル連結経営管理システムとしてSactonaを活用しています。Excelベースの操作性を維持しながら、Webベースでインストール不要の環境を整えたことで、短期間での全社導入と大規模な組織再編への対応を両立しています。多拠点・多部門の経営管理を一つの基盤で回したい企業にとって、導入後の運用イメージがつかみやすい事例です。
参照元:Sactona(アウトルックコンサルティング株式会社)公式HP(https://www.outlook.co.jp/review/panasonic/)
Manageboardは、財務三表とKPIをつなぎながら、経営データの集計・分析・管理を一元化したい企業に向いています。計画PL・BS・CFの三表連動、計画策定、実績取込み、レポート作成、分析・共有といった流れを一つの仕組みで進めやすく、会計ソフトとのAPI連携も特徴です。数字を集めるだけでなく、経営判断に使える形まで整えたい企業に合います。
また、Manageboardは、財務だけでなく非財務の情報も含めて多角的に見たい企業に使いやすい製品です。取締役会向けの資料づくりや、部門別・店舗別の業績把握まで含めて運用を整えたい場合にも向いています。
参照元:Manageboard(マネーフォワードコンサルティング株式会社)公式HP(https://service.manageboard.jp/function/)
nobitelでは、グループ4社・100店舗以上の予実管理をExcelで行っていたため、ファイルが重くて開きにくい、フォームが崩れる、確認作業に時間がかかるといった課題を抱えていました。Manageboardの導入後は、会計ソフトとのCSV連携によってデータ連携が進み、予実分析にかかる時間を大幅に削減できています。大量の数字を扱いながら、分析や意思決定に時間を使いたい企業に向いた事例です。
参照元:Manageboard(マネーフォワードコンサルティング株式会社)公式HP(https://service.manageboard.jp/case/nobitel/)
Scale Cloudは、PLだけでなくKPIまでつないで、経営層、管理部門、現場が同じ数字を見ながら改善を進めたい企業に向いています。PLとKPIの一元化を通じて予算の達成率を高める経営マネジメントシステムで、先行指標をもとに未来予測を行い、KPI設計や運用の定着まで支援します。
また、Scale Cloudはブラウザで利用でき、導入支援や運用支援の体制も整えています。月額10万円から始められるため、比較的入りやすい価格帯から検討しやすいのも特徴です。数字を可視化するだけでなく、現場の行動改善につなげたい企業で相性が出やすい製品です。
参照元:Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)公式HP(https://scalecloud.jp/)
参照元:Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)公式HP(https://scalecloud.jp/faq/)
アピリッツでは、Excelによる予算管理に限界を感じており、価格面の導入しやすさとサポート体制を評価してScale Cloudを導入しています。導入後は、リアルタイムで情報を共有しやすくなり、現場と管理側の間で数字に対する認識をそろえながら改善を進めやすくなっています。KPI運用まで含めて予実管理を定着させたい企業に向いた事例です。
参照元:Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)公式HP(https://scalecloud.jp/case/appirits/)
中小企業経営管理システムは、まずは中小企業で経営の見える化を進めたい場合に向いています。部門別採算クラウド、営業支援、顧客情報管理をまとめて扱える総合管理システムで、財務会計と管理会計の両方を一つに寄せやすいのが特徴です。日次の運用と経営数字の共有を近づけたい企業にとって、入口として検討しやすい製品です。
大規模で高機能な予実管理クラウドというよりは、紙やExcelに分散していた情報をまとめて、部門別採算や月次の状況を見やすくする方向に強みがあります。まずは管理の基盤を整えたい企業に向いています。
参照元:中小企業経営管理システム(株式会社セキュリティ情報研究所)公式HP(https://www.sil-web.co.jp/package/new_unit.html)
情報が紙とパソコンに分散していた企業では、必要な情報を探し出すだけでも手間がかかっていました。中小企業経営管理システムの導入後は、情報を時系列で確認できるようになり、現在の状況を踏まえて次月の予定まで立てやすくなっています。情報の一元化と部門採算の見える化を同時に進めたい中小企業に向いた事例です。
参照元:中小企業経営管理システム(株式会社セキュリティ情報研究所)公式HP(https://www.sil-web.co.jp/solution/unit.html)
Amoeba Pro 管理会計クラウドは、部門別、商品別、プロジェクト別など、多角的に採算を分析しながら経営判断の精度を高めたい企業に向いています。計画立案から実績集計の効率化、自由度の高いレポートやグラフによる分析を通じて、改善点を具体化しやすい点が特徴です。現場レベルまで数字を見えるようにしたい企業や、多軸で採算を追いたい企業に向いています。
また、財務会計システムとクラウド上でつなぐオプションも用意されており、管理会計と財務会計をなるべく切り離さずに運用したい企業でも検討しやすい構成です。単なるレポート作成ツールではなく、数字をもとに現場と経営の会話を増やしたい企業で力を発揮しやすい製品です。
参照元:Amoeba Pro 管理会計クラウド(京セラコミュニケーションシステム株式会社)公式HP(https://biz.kccs.co.jp/service/amoebapro/)
参照元:Amoeba Pro 管理会計クラウド(京セラコミュニケーションシステム株式会社)公式HP(https://biz.kccs.co.jp/service/amoebapro-op)
アイエスエフネットでは、各種システムが分散していたことで、現場の利益実態を把握しにくく、Excel集計にも大きな負荷がかかっていました。Amoeba Pro 管理会計クラウドの導入後は、システム連携によって自動集計が進み、現場目標の明確化やプロジェクト採算の分析まで行えるようになっています。経営判断の精度向上と現場の自律的な行動を両立したい企業に向いた事例です。
参照元:Amoeba Pro 管理会計クラウド(京セラコミュニケーションシステム株式会社)公式HP(https://www.kccs.co.jp/contents/ict/case/case04/)
Loglass 経営管理は、予算、見込、会計データ、KPIなど種類の異なるデータをまとめて統合し、ワンクリック比較や多軸分析で経営判断を進めたい企業に向いています。予算・見込といった計画データと、KPIや会計データといった実績データをまとめて予実の統合データベースを作り、迅速かつ詳細な分析につなげられるのが強みです。
さらに、タグ分析、ドリルダウン、コメント収集、子会社・部門管理、レポーティングまで一連の流れで扱いやすく、経営企画の集計負担を減らしながら分析の質を上げたい企業に合います。プロジェクト単位や部門単位で収益を見たい企業、大規模データの統合に時間がかかっている企業に向いた製品です。
参照元:Loglass 経営管理(株式会社ログラス)公式HP(https://loglass.jp/solution/management-control)
村田製作所では、約1,000件のIT投資プロジェクトの予算集計に時間がかかっていましたが、Loglassの導入後は集計時間を15分まで短縮できています。加えて、野村不動産コマースでは、年間1,000件を超えるプロジェクト収支の可視化が進み、現場の利益意識向上や経営判断への活用につながっています。多数の案件や部門をまたいで数字を早く、深く見たい企業に向いた事例です。
参照元:Loglass 経営管理(株式会社ログラス)公式HP(https://www.loglass.jp/case-study/murata)
参照元:Loglass 経営管理(株式会社ログラス)公式HP(https://www.loglass.jp/case-study/nomura-rp)
予実管理クラウドの導入を成功させるには、最初に何を減らしたいのか、何を早くしたいのかをはっきりさせることが大切です。予算策定の入力負荷を減らしたいのか、月次の予実突合を早くしたいのか、見込更新の精度を上げたいのか、KPIまで含めて現場を巻き込みたいのかで、合う製品は変わります。
あわせて、部門数、拠点数、グループ会社の有無、既存システムとの連携要件、現場入力の必要性、レポートの使い方まで整理しておくと、問い合わせ後の比較が進めやすくなります。予実管理クラウドは、どの製品がよいかではなく、自社の管理単位と運用体制に合っているかで成果が変わりやすい領域です。
参照元:ASPIC(特定非営利活動法人ASP・SaaS・AI・IoTクラウド産業協会)公式HP(https://www.aspicjapan.org/asu/article/6141)
予実管理クラウドを選ぶときは、知名度や機能数だけで決めるのではなく、自社がどの工程を改善したいのかを先に整理することが大切です。予算策定から見込更新までを一つの流れで整えたいのか、KPIまで含めて運用したいのか、経営計画や将来シミュレーションまで重視したいのかで、選ぶべき製品は変わります。
今回紹介した8製品は、それぞれ得意な領域が異なります。まずは自社の課題に近いタイプを見極め、そのうえで2〜3製品に絞って比較すると判断しやすくなります。製品選定の段階で比較軸をそろえておくと、導入後の運用もぶれにくくなります。
勘と経験に頼らない
数字で動ける経営判断
新規事業の立ち上げが多いIT・コンサル業が抱える投資判断・資金計画の不透明さを財務諸表で見える化し、意思決定スピードを後押し。 約700(※1)の会計事務所が企業マネジメントに活用する実績と信頼性で、感覚に頼らない経営判断が行える。
現場の非効率を見える化
利益体質へ転換
製造現場の複雑な生産工程に柔軟に対応。生産計画をもとに在庫やリードタイムを管理し作業指示書を自動生成。作業進捗の可視化やリソースを最適化でき、業務効率化と迅速な経営判断を実現します。
店舗間ロスを最小限に
ムダのない経営資源配分
店舗間で在庫に偏りが出やすいチェーンストアの課題に応える設計で、POS・在庫・仕入れ情報をリアルタイムに統合管理。
前日の理論在庫の数量や金額を可視化することで、欠品・過剰在庫の抑制やムダのない在庫コントロールを実現できる。
※1 ※2025年4月調査時点 参照元MAP経営公式HP(https://www.mapka.jp/outline/soft/)