ここでは、SAP製品の導入を検討している企業の経営企画・財務部門向けに、SAPの特徴や導入メリット、各種モジュールの役割、具体的な活用例を詳しく解説します。
経営管理で扱う「計画・予算・予測」などは、企業業績管理(EPM/CPM)の考え方と重なります。ERPは財務や人事、購買、在庫管理、生産管理、販売管理などの情報を一元管理し、社内でリアルタイムに情報を共有できるシステムとして説明されています。SAPはERP製品として取引データを統合しやすく、経営管理で使う数字の前提をそろえやすい点が検討理由になりやすいです。
経営管理は「経営を管理すること」ですが、経営企画や経営戦略と同じ意味で語られることも少なくありません。SAPで経営管理システムを検討する際は、3つの役割を整理すると論点が明確になります。
経営企画は、経営目標を設定するための材料づくりを担います。市場調査や営業データの収集などを通じて経営会議の意思決定を支え、作成した資料を基に経営目標の設定や、その後の戦略立案につなげます。
経営戦略は、設定した経営目標を実現するための戦略です。自社が保有するリソースの状況を把握しながら、競合環境などの内外要因も踏まえて、目標達成のための作戦を組み立てます。
経営管理は、経営戦略の実行段階において、自社のリソースが効率よく活用されるように管理することです。企画や戦略が優れていても、実行段階でリソースを運用しきれなければ目標達成につながりにくいため、実行局面で重要になります。
経営管理では、KPIを定め、達成度合いを定期的に確認しながら必要に応じて軌道修正します。製造業を例にすると、生産管理・販売管理・人事/労務管理・財務管理などが管理対象になりやすいです。
施策ごとにKPI(重要業績評価指標)を設定し、達成度合いを定期的に確認します。計画通りに施策が進んでいない場合は、原因を特定し、改善を続けながら軌道修正を行います。
生産管理は、主に製造業で品質や納期、数量が適正化するように管理する業務です。納期スケジュールや在庫の管理、生産計画の立案、生産工程の進捗チェック、品質管理、原価管理などが含まれ、適切な管理により品質向上だけでなく製造コストや在庫保管コストの削減、短納期化などが期待されます。
販売管理では、受注、売上、出荷、請求、顧客データなどを扱います。「どの顧客に・どの商品を・どのくらいの量と頻度で」販売しているかが可視化されるため、生産管理や原材料の調達、在庫管理の適正化などにもつながりやすく、モノづくりの根幹に関わる領域です。
人事・労務管理では、従業員と労働時間など、人的リソースに関する管理を行います。人事管理は人的リソースの最適配置を目的とし、労務管理は労働時間の把握と調整やモチベーションに関する施策などを通じて、人的リソースが発揮するパフォーマンスを最大化することを目的とします。人事考課や評価制度の策定、人事異動の管理、福利厚生の管理などが該当します。
財務管理では、財務状況の把握と分析を行い、経営戦略の実行に必要な資金調達計画を立案し、適切に実行されているかをチェックします。手元資金の管理、金融資産の運用、予算配布と実行(予実管理)などが含まれ、M&Aの計画・実行を財務管理の一部とみなす場合もあります。
経営管理の実務をシステム化したものが経営管理システムです。経営管理システムはERPとは異なる仕組みとして整理される一方で、実務ではERPが持つデータを参照しながら分析や予測を行う前提があるため、ERPを土台に据える設計で議論されることが多いです。
経営管理システムでは、複数の業務部門からさまざまなデータを参照しながら分析や予測を行います。そのため、SAP ERPのようにデータ収集・保管に長けたERPを前提に設計すると、経営管理に必要なデータを網羅的に管理しやすくなり、時間とコストの面でも効率がよいという考え方があります。
SAP製品は、財務・人事・販売・在庫・生産といった企業内の主要業務を一元管理できるERP(基幹業務システム)です。すべての業務データが同じ基盤上で連携されるため、部門間のデータ共有がスムーズになり、業務の透明性と効率が向上します。
グループ会社や海外拠点を持つ大手企業では、統合管理による業務の標準化と連結経営の推進に大きな効果があります。
SAP独自のインメモリデータベース「SAP HANA」を基盤にすることで、大量のデータを高速に集計・分析できます。結果として、過去のデータ分析だけでなく、現在の状況や将来の予測に基づく即時の意思決定が可能になります。
予算実績差異の把握や売上予測、コスト配賦など、高い精度の意思決定が求められる経営企画・財務部門に適しています。
SAPは業界別に調整済みの業務手順テンプレートを提供しており、自社固有の業務にも柔軟に対応できます。標準的な業務手順をベースにシステムを構築できるため、導入初期から運用や拡張まで効率よく対応できます。
SAPでは原価管理を精緻に行うことで製品別・部門別の収益性を把握できます。在庫情報と連携し過剰在庫や欠品リスクを抑え、購買の自動化により間接コストを削減します。
紙ベースの業務を電子化し、承認フローや帳票作成の手間を大幅に減らせます。予実管理や配賦処理がシステム化され、担当者は本来の業務に集中できるようになります。
購買や支出の透明化、不正の早期発見、承認権限の明示によりガバナンスを強化します。サプライヤーや財務リスクも一元的に把握でき、経営の安定性向上に貢献します。
SAPはダッシュボードや分析ツールと連携し、リアルタイムでの判断を支援します。製品別・部門別・地域別など多角的な視点で業績を把握でき、迅速な経営判断を可能にします。
部門ごとの原価管理や配賦、予算実績比較、損益計算など、内部会計情報を一元管理します。CO(Controlling)は経営資源を有効に活用する中核機能です。
SAP内外のデータを高速に集計・分析できる基盤です。COやFIのデータを統合し、リアルタイム分析やダッシュボード出力に利用します。
連結決算や予算計画、財務シミュレーションに対応します。SAP BPCは中長期計画や予測にも適し、戦略的な財務管理を支援します。
購買や経費精算、人材管理などを効率化するクラウドサービスです。SAP本製品と連携し、企業全体の生産性向上に役立ちます。
いわゆる「SAPの2027年問題」は、主にSAP Business Suite 7世代(SAP ERP 6.0など)を前提に、保守期限が意思決定の制約になりやすい点から語られます。SAPはBusiness Suite 7のコアアプリケーションについて、標準保守を2027年末まで提供し、その後は追加費用を伴う延長保守が2030年末まで選択可能であることを公開しています。既存環境がある企業ほど、経営管理の高度化とあわせて、移行のロードマップを早めに整理しておくことが重要になります。
予算と実績の差異が設定値を超えた場合に自動アラートを発信し、現場や管理職が迅速に対応できます。事前の損失回避に役立ちます。
共通ルールに基づく原価配賦で部門単位や製品単位の収益性を評価できます。利益の要因や改善すべき部門を正確に把握できます。
複数法人の財務データを統合し、内部取引の消去や連結損益計算を自動化します。連結決算の処理速度と正確性が向上します。
購買担当者や時期、取引内容を追跡できるため、不適切な取引を排除し、内部統制を強化します。
Excelでの集計作業を排除し、ダッシュボードと予測モデルを活用することでFP&A部門が戦略的な分析や提言を行いやすくなります。
SAP製品は、経営企画や財務部門が直面する迅速な意思決定や収益性の把握、内部統制の強化といった課題に対応する仕組みを提供します。中堅から大手企業では、部門や拠点、子会社をまたいだ統合管理とリアルタイム分析が可能となり、組織全体の競争力が高まります。
次の取り組みとしては、トライアル環境を用いた小規模検証や、課題の整理を踏まえた要件定義の実施をおすすめします。
勘と経験に頼らない
数字で動ける経営判断
新規事業の立ち上げが多いIT・コンサル業が抱える投資判断・資金計画の不透明さを財務諸表で見える化し、意思決定スピードを後押し。 約700(※1)の会計事務所が企業マネジメントに活用する実績と信頼性で、感覚に頼らない経営判断が行える。
現場の非効率を見える化
利益体質へ転換
製造現場の複雑な生産工程に柔軟に対応。生産計画をもとに在庫やリードタイムを管理し作業指示書を自動生成。作業進捗の可視化やリソースを最適化でき、業務効率化と迅速な経営判断を実現します。
店舗間ロスを最小限に
ムダのない経営資源配分
店舗間で在庫に偏りが出やすいチェーンストアの課題に応える設計で、POS・在庫・仕入れ情報をリアルタイムに統合管理。
前日の理論在庫の数量や金額を可視化することで、欠品・過剰在庫の抑制やムダのない在庫コントロールを実現できる。
※1 ※2025年4月調査時点 参照元MAP経営公式HP(https://www.mapka.jp/outline/soft/)